■記事提供:動物愛護支援の会/マルコ・ブルーノ

場所はオーストリアのケルンテン州。首都のクラゲンフルトの都心部、緑に囲まれた市立のヒルゲルトパーク老人ホームがあります。「ペットと一緒に入居できる」と犬を飼っている地元の友人に聞かされ、取材を申し込みました。

言われた住所に到着したとき、あれッ! 住所を間違えたかと思いました。想像していた老人ホームとまったく違うイメージの施設でした。まるで公園の中に建てられた高級マンションと思わせるほど綺麗な建物。本当にここなのか? と半信半疑近づいてみると、入り口にはたしかに「ヒルゲルトパーク老人ホーム」というプレートがありました。これが市立の老人介護施設だと驚きました!

しかし、驚きは建物の外観だけではありませんでした。広いエントランスホールに入ったところ、さっそく可愛いアメリカン・コッカの出迎えを受けました。所長の事務所へ案内してくれた職員に 「このワンちゃんもここの住民?」と尋ねたところ、「以前はそうでしたが、飼っていた方の健康状態が悪化し、入院暮らしになりましたので、今は私の家族になり、こうして毎日私と一緒に出勤しています。皆さんに愛され、この施設のアイドルです!」

ヒルゲルトパークの老人ホームは150部屋もある大きな施設です。ペットと同居できる経緯を所長のゾルマンさんに尋ねました。

「人間が年をとると、避けて通れない問題が浮上してきます。それは惚けてしまうという現象です。他の病気なら、治療方法はどんどん進化してきましたが、惚けにたいする薬はありません。しかし最近の研究では、動物は惚け防止に大いに役立つということが分かりました。それで5年ほど前から飼われているペットと同居できるように決めました。もちろん飼われているペットの制限があります。まさかワニとの入居を認めるわけにいきませんからね・・・(笑)。

小動物でしたらほとんど大丈夫ですが、ワンちゃんの場合ですと、入居希望者と飼われているワンちゃんを面接し、可能かどうかを私が判断します。そしてもう一つ大切な条件は、同居しているペットの日頃の面倒を自分でみるということです。

動物と一緒に暮らすという楽しさと責任をもって世話をすることが老後生活の励みにもなりますし、惚けという老化現象を食い止めるにも役立つということです。」
■記事・写真提供:
動物愛護支援の会代表/マルコ・ブルーノ